頭の病気と症状
一次性頭痛(いちじせいずつう)
はっきりとした病変がなく頭痛をひきおこす病気
緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)
しめつけられるような、何かをかぶせられたような頭痛がいつもあり、首すじの張り、肩こり、目の疲れを伴うこともある。
片頭痛(へんずつう)
時々ズキンズキンとした脈を打つような強い頭痛が数時間から2-3日続く。頭痛の期間中、仕事はもちろん日常生活もつらい。1ヶ月に1〜2回から多い時には毎週発生する。
群発頭痛(ぐんぱつずつう)
ある一定期間(数ヶ月)毎日のようにほぼ決まった時間に片目の奥の痛みを伴った激しい頭痛を生じる。痛みの無い時期が半年〜2、3年続いた後、ふたたび痛み出すことが多い。
後頭神経痛(こうとうしんけいつう)
急に耳の後ろや首・頭の後ろから頭のてっぺんにかけて、表面に突き上げるような痛みがある。片側のことが多い。
二次性頭痛(にじせいずつう)
頭の中に、出血、梗塞、腫瘍、炎症などの病変があり、頭痛とともに麻痺や生命にかかわる事態を引き起こすため、緊急に神経内科、脳外科の診療が必要。副鼻腔炎(蓄膿症など)、緑内障など鼻や目の病気でも頭痛を生じることがある。
顔の病気と症状
三叉神経痛(さんさしんけいつう)
くりかえす片側の顔面や口の痛みで、特定の場所を触れるだけでなく、食事、歯みがき、ひげそり、洗顔、洗髪など日常生活の動作において、前ぶれもなく短いが耐えがたい痛みが何度も襲ってくる。口の中の痛みの場合は、歯科にかかっても異常はないと言われたり、歯が原因と言われて治療したにもかかわらず痛みがとれなかったり、原因不明に悩む場合も少なくない。
顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)
ある日突然、意識はしっかりしているのに顔の半分が麻痺してゆがみ、片方のまぶたが閉じない、口の端が下がって自由に動かず、口に含んだ水分がこぼれてしまうことに気づく。特発性顔面神経麻痺(ベル麻痺:単純疱疹ウイルスが主な原因ではないかと言われている)や、耳のまわりに発症する疱疹に引き続き発症する顔面神経麻痺(ハント症候群:帯状疱疹ウイルスが原因)などがある。
顔面けいれん(がんめんけいれん)・片側顔面けいれん(へんそくがんめんけいれん)
片方のまぶた、ほほ、口のまわりが自分の意志と関係なく勝手にピクピク動いてしまう。ひどいときには片目がつぶったままや顔がひきつってしまうような場合もある。疲れたときなど一時的に出現する軽い症状ではなく、頻繁にある。
眼瞼けいれん(がんけんけいれん)
両方の目のまわりの筋肉が、自分の意志とは関係なく勝手にけいれんし、まばたきをくりかえしてしまう。光が異常にまぶしく、ひどくなると目を開けていられなくなることもある。
舌咽神経痛(ぜついんしんけいつう)
飲食にともない噛んだり飲み込んだり、くしゃみや咳で、口の中、舌のつけ根、のどの奥に、発作的に激しい痛みが生じる。
非定型顔面痛(ひていけいがんめんつう)
詳しい検査を受けたにもかかわらず、また歯科治療をしたにもかかわらず、顔、口の中、歯の痛みが持続する。
舌痛症(ぜつつうしょう)
詳しい検査をしても異常がないのに、舌の先や縁がヒリヒリ、ピリピリして痛い、しびれる。
耳・鼻の病気
花粉症(かふんしょう)・季節性アレルギー性鼻炎(きせつせいあれるぎーせいびえん)
薬でコントロールしきれず調整に苦しむ方、減感作療法や鼻粘膜へのレーザー照射を望まれない方には、季節になる前〜かかりはじめに神経ブロックが効果的なこともある。
突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)
ある朝、起きたら片耳が聞こえにくくなっている突発性難聴は、ウイルスなどによる内耳の循環障害が原因と言われている。
首の病気と症状
頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ)
椎間板ヘルニアは腰だけの病気ではない。頚椎にも多く、脊髄から分かれた神経の枝を圧迫し、首、肩甲骨のまわりや腕・手の痛み、しびれ、運動麻痺をひきおこす。首を後ろにそらすと痛み、しびれが強くなる。
頚椎症(けいついしょう)・頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)
首の骨の変形や椎間板の劣化変形により、椎間板ヘルニアと同じように神経を圧迫する。首の痛みやこり、肩甲骨のまわり、腕から手にかけての痛み、しびれを引き起こす。
頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)
頚椎症が進行して脊髄が圧迫される。両手の痛み、しびれ、ボタンのはめはずしなど指の細かい動作が鈍くなる。進行すると足のしびれ、歩行障害、排尿・排便のコントロールにも障害が出てくる。
頚椎椎間関節症(けいついついかんかんせつしょう)
背骨にもある骨と骨の連結部(左右の関節部:これを椎間関節と言う)で炎症がおこり、首や背中の痛みを引き起こす。首を傾けたり回したりすると痛みが強くなる。頭痛を招くこともあり、首の横を押さえると痛いことが多い。
頸部後縦靭帯骨化症(けいぶこうじゅうじんたいこっかしょう)
脊髄の前を縦に走る後縦靭帯が、骨のように硬く厚くなって脊髄を圧迫し、首の痛み以外に手足のしびれ、手指の細かい動きが障害される。進行すると手足の筋力低下、歩行障害を生じる。
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
洗濯物を干す、つり革につかまるといった腕を上にあげる動作において、腕や手がしびれたり、痛みがあったり、冷たくなったりする。
寝ちがい(ねちがい)
朝起きたら首が痛くて回らない。
頚肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)
X線やMRIなどで検査をしても原因がよくわからない首、肩、腕の痛み。パソコン作業、事務作業、ストレスなどによることが多い。
痙性斜頸(けいせいしゃけい)
自分の意志とは関係なく、首が勝手にどちらかの方向に傾いたり回ったりしてしまい、まっすぐにできない。首、肩の筋肉の痛みや振戦(ピクツキ、ふるえ)を伴うこともある。
頚椎手術後痛(けいついしゅじゅつごつう)
頚椎の手術の後も腕の痛みやしびれが残っている、軽くなったが日常生活には支障がある、または新たに生じる。
肩の病気と症状
肩こり(かたこり)
いつも肩が張って重りがのっている、鉄板が入っているような感じ。首や頭が痛くり、触れるとしこりを感じることもある。頚椎の病気、肩関節の病気、頭痛、眼精疲労、筋肉疲労、体型、姿勢の問題、運動不足、ストレス、女性のホルモンバランス障害などによって、首から肩にかけての筋肉は持続性の緊張を強いられ、硬くなり、血流が滞(とどこお)りがちになったり炎症を起こしたりして、疲労物質や痛みを引き起こす発痛物質が局所にたまっている。
肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)いわゆる四十肩(しじゅうかた)五十肩(ごじゅうかた)
40〜50歳前後から生じる肩の痛みで、腕を動かすことにより痛みがあるため、腕が上がらない、背中に回すことが難しい、洗髪、着替えに手間取る。夜間〜明け方に、凍てつくような肩の痛みで目を覚ますこともある。
四十肩・五十肩と思い込んでいた長引く肩の痛みや運動制限の中には、腱の断裂、炎症や異常な石灰化を生じていることもある。
肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)
腕を上げたり回したりする腱が断裂、手術が必要な場合もある。
石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)
腱が上腕骨の骨頭の外側に付着する部分で石灰化することが多く、炎症を起こして痛みを生じる。
上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)
肘を曲げたときに力こぶを作る上腕二頭筋の腱が炎症を起こし、肩の前方に痛みを生じる。
腕・肘・手の病気と症状
腕以外に原因がある場合
頚椎疾患によって生じる症状
首の疾患により、頚髄や頚髄から出た神経の枝(脊髄神経)に障害があり、腕や手の痛み、しびれ、脱力感が発生する。
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)、首や胸の中の腫瘍(しゅよう)などによって生じる症状
頚髄や一部の胸髄から出た脊髄神経が鎖骨のまわりを通って腕に入るところで障害があり、腕や手の痛み、しびれ、脱力感が発生する。
腕・肘・手に直接原因がある場合
上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)、上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん):テニス肘(ひじ)・ゴルフ肘(ひじ)とも呼ばれる
力を入れて手首を曲げ伸ばししたりひねったりすると、肘の外側や内側を中心に腕が痛む。テニス、ゴルフなどの腕を使うスポーツ以外にも、パソコンなどのデスクワークや家事を行なう主婦にもよく起こる。
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
肘が原因で尺骨神経(しゃっこつしんけい)が圧迫され、最初は小指と薬指の外側半分にしびれや感覚の低下があり、進行すると指と指の間の筋肉がやせて開きにくくなったり、小指と薬指が伸びなくなったりする。
ギオン管症候群(ぎおんかんしょうこうぐん)
小指側の手首から手のひらのつけ根にあたる肉のふくらみあたりで尺骨神経(しゃっこつしんけい)が圧迫され、小指の手のひら側のしびれ、感覚低下や小指が動かしづらくなる。
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
手首が原因で正中神経(せいちゅうしんけい)が圧迫され、人差し指、中指を中心に親指から薬指にかけしびれ、痛みがあり、夜間〜明け方に強い。小指に症状はない。進行すると手のひらの親指のつけ根にあたる肉のふくらみがやせてくる。
ドゥ・ケルバン腱鞘炎(どぅ・けるばんけんしょうえん)
手首の親指側の腱鞘炎で痛みが生じる。物を握ったり手首をひねったりすると強くなる。痛みで親指が動かしづらい。
ばね指(ばねゆび)
指を曲げる腱の炎症により、指を伸ばそうとすると、指のつけ根で引っかかるような感じがあり、バネ仕掛けのようにして伸びる。関節の手のひら側にしこりを触れる、痛みがある。
ヘバーデン結節(へばーでんけっせつ)
何本かの指の一番先の関節が張れたり痛かったりする。この関節の背中側には小さなこぶ状のでっぱりができ、関節が曲げにくくなったり痛みが出たりする。
橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)
寝ている間や知らない間に、二の腕で橈骨神経(とうこつしんけい)が圧迫を受け、気がつくと親指、人差し指と前腕の親指側がしびれ、感覚が鈍く、手首と指のつけ根が伸ばせず垂れ下がったままになっている。
尺骨神経麻痺(しゃっこつしんけいまひ)
前腕の小指側と、小指、薬指の感覚障害が生じ、進行すると指と指の間の筋肉のやせや、指を広げることが困難になり、小指・薬指を伸ばすことができない。
正中神経麻痺(せいちゅうしんけいまひ)
手のひら側の親指〜薬指の感覚が鈍くなり、手首や指が曲げづらくなる。進行すると、手のひら側で親指のつけ根の筋肉の盛り上がりが減って薄くなり、親指と人差し指の第1関節で曲げにくくなる。
胸・背中・腹の病気と症状
肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)
肋骨に沿って胸や背中が痛む。
胸椎圧迫骨折(きょうついあっぱくこっせつ)
加齢により骨粗鬆症(骨粗しょう症)など骨がもろくなると、ころんだり、ころんでもいないのに重い物を持ったり、体を動かしただけで背骨が折れ、背中から胸やわきばらにかけて痛む。多発すると背中が丸くなる。
胸椎椎間関節症(きょうついついかんかんせつしょう)
背骨と背骨の連結部が炎症を起こし背中が痛む。背骨の真ん中すぐ横を押さえると痛む。
変形性胸椎症(へんけいせいきょうついしょう)
変形した椎体(多くは背骨にできたでっぱり)、変性した椎間板や、椎間関節の慢性の炎症により、背中や肋間神経に沿って痛みや違和感が生じる。
胸椎椎間板ヘルニア(きょうついついかんばんへるにあ)
痛みの少ない下肢のしびれ、感覚低下や脱力感を生じる。背中や肋間神経に沿って痛みを生じる場合もある。進行すると、尿意・便意があってもすぐに出なかったり、漏らしてしまったりすることもある。
胸部手術後痛・開胸術後痛(きょうぶしゅじゅつごつう・かいきょうじゅつごつう)
開胸や内視鏡による胸部の手術の後、傷は治ったのに胸や背中の表面に痛みが残っている。
胸椎腫瘍(きょうついしゅよう)
がんの転移により背中や肋間神経に沿った痛みがある。骨粗鬆症と同じように、圧迫骨折を起こすことがある。また脊髄を圧迫して麻痺を引き起こすこともある。
腰の病気と症状
腰痛(ようつう)
脊椎(腰骨)や脊椎のまわりにある筋肉に原因があるものと、腎臓、尿管結石、腹部大動脈瘤、子宮筋腫、子宮内膜症などの骨盤内臓器の病気などによることもある。また、慢性の腰痛には精神的ストレスによって発生するものも多い。まれに脊椎のがんの転移や感染による脊椎、椎間板の園章が原因のこともある。
腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)
腰痛とともに、脚がしびれたり痛くなったりする。洗面などで前かがみがつらい。進行すると運動麻痺を生じる。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
腰や脚の痛みやしびれが出るため、休み休みでしか歩けない。前かがみで楽になる。両足が冷たい。足の裏の感覚がおかしい。椎間板ヘルニアのように、片側の脚が痛む、しびれることもある。ひどい場合には脚の力が衰えるばかりでなく麻痺にまで進行したり、排尿や排便の感覚が鈍くなり漏らしてしまったりすることもある。
腰椎すべり症(ようついすべりしょう)
背骨同士がずれているため腰だけでなく、脊髄神経を圧迫して脚が痛む、しびれる。脊柱管狭窄を併発することもある。若いときから運動などによって連結部が損傷することによって生じる「分離すべり症(ぶんりすべりしょう)」と、加齢とともに背骨の配列が不安定となって生じる「変性すべり症(へんせいすべりしょう)」がある。
急性腰痛症、ぎっくり腰(きゅうせいようつうしょう、ぎっくりこし)
重い物を持ったり、体を動かしたりしたとたんに腰が痛み身動きがとれない。
腰椎椎間板症(ようついついかんばんしょう)
椎間板が老化し、背骨のクッションとしての働きや背骨の安定性が低下して、腰痛を生じる。変形性腰椎症の一つ。
腰椎椎間関節症(ようついついかんかんせつしょう)
腰骨と腰骨の連結部で炎症を起こし腰が痛む。背骨の真ん中のすぐ横を押さえると痛い。ぎっくり腰以外にも多くの腰の疾患で合併して起こる。慢性化すると腰だけでなく、下肢にも痛みが拡がる。
変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)
加齢に伴い腰やおしりに痛みが生じる。腰骨の変形(多くは骨棘といい、背骨にできたトゲのでっぱり)の他に、腰椎椎間板症(ようついついかんばんしょう)、腰椎椎間関節症(ようついついかんかんせつしょう)などが含まれる。特に朝起きた時や、座っていて立ち上がる時のように動作のはじめに痛みがあり、歩き出すとおさまる。長く立っているなど、長時間同じ姿勢でいる時も痛みが出やすい。
仙腸関節症(せんちょうかんせつしょう)
腰の病気による姿勢不良、妊娠・分娩、外傷などにより、骨盤の仙腸関節に炎症や変形を引き起こし、腰〜おしりの痛みを生じる。そ径部や太ももの後ろにも痛みをともなうことがある。
側弯症(そくわんしょう)
加齢性の変化により背骨が横に弯曲し、がんこな腰痛とともに、脊髄神経の根部が圧迫されたり引っぱられたりして、脚の痛みやしびれも生じる。
骨粗鬆症・骨粗しょう症(こつそしょうしょう)
加齢とともに背骨がもろくなり、背中や腰の痛みを伴う。簡単に圧迫骨折を起こすこともある。
腰椎圧迫骨折(ようついあっぱくこっせつ)
骨粗鬆症(骨粗しょう症)など背骨がもろくなると、転倒以外にも、物を持ちあげたり体を動かしたりした拍子に腰骨がつぶれる。痛くて動けない。寝返りを打つだけでも痛む。
坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)
腰椎かおしりに原因があり、おしりから太ももの後ろ、膝から下にかけて痛む、しびれる。
大腿神経痛(だいたいしんけいつう)
下肢の痛み、しびれでも、坐骨神経痛とは異なり、脚のつけ根から膝にかけ太ももの前から横にかけて症状がある。
脊椎手術後疼痛症候群(せきついしゅじゅつごとうつうしょうこうぐん)、脊椎手術後の痛み(せきついしゅじゅつごのいたみ)、FBSS(Failed Back Surgery Syndrome)
腰椎、頚椎の脊柱管狭窄、椎間板ヘルニアなど脊椎の手術を受けて成功したにもかかわらず、腰や下肢、首や腕の痛みが残っている、痛みは軽くなったが日常生活に支障がある、新たに痛みやしびれが発生する。
転移性腰椎腫瘍(てんいせいようついしゅよう)
腰骨へのがんの転移により、腰痛や脚に痛みが生じる。圧迫骨折を起こしたり、進行すると脊髄や脊髄神経を圧迫し、まひを生じることもある。
股・脚・膝・足の病気と症状
腰の病気が原因で下肢の症状を引き起こす場合
腰の椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、すべり症、側弯症、首の進行した頚椎症、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、胸椎椎間板ヘルニア、その他脊髄腫瘍など。
股・膝・下肢の病変
変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)
歩きはじめや立ち上がる時に加え、歩行中にも痛みがあり、変形性膝関節症と同じように正座やあぐらをかけない。和式トイレでかがむことができない。脚の爪切りや、靴下をはいたり脱いだりするのがむずかしい。
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
階段の上り下り、特に下りるときに痛む。膝の曲げ伸ばしに制限が生じ、正座やあぐらをかくことができない。膝に水がたまり腫れる。
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)、踵骨棘(しょうこつきょく)
足の裏の踵の周囲が痛い。X線で踵の骨にとげ(骨棘:こつきょく)ができていることがある。
モルトン病(もるとんびょう)
足の裏の趾のつけ根あたりで、第2-3足趾、第3-4足趾の間が痛い、しびれる。
痛風(つうふう)
第1足趾のつけ根が赤く腫れて痛い。採血で尿酸値が高い。
全身にみられる病気と症状
帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしん・たいじょうほうしんごしんけいつう)
顔、首、腕、胸、腹、背中、腰、脚と全身のどこにでも発生する可能性あり。左右どちらかの皮膚の水ぶくれと一緒に痛みが発生する。原因は神経にひそんでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが神経を壊すため、神経に沿った痛みと、その表面の皮膚の一時的な炎症による水疱が発生する。神経が修復しきれないと、疱疹が治ったにもかかわらず不快な痛みが長期にわたり残ってしまう帯状疱疹後神経痛となり、一般の鎮痛薬は全くといっていいほど効かない。
骨粗しょう症(こつそしょうしょう)
立ち上がるときや荷物を持っているときに背中や腰が痛む。ひどくなるとちょっとした転倒で手首を骨折する橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)、股関節部を骨折する大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)、転倒以外にも大きな咳やくしゃみ、そのほか知らないうちに背骨や腰骨を骨折する脊椎椎体圧迫骨折(せきついついたいあっぱくこっせつ)を発症し、日常生活に大きな支障が出る。閉経後の女性に多い。
筋・筋膜性疼痛(きん・きんまくせいとうつう)
首・肩・背中・腰などで局所的な痛みの場所に一致して、緊張やしこりを感じる。押さえると周囲に拡がるような痛みを生じるポイントがある。
閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)、バージャー病(ばーじゃーびょう)、レイノー病(れいのーびょう)、糖尿病性動脈硬化症(とうにょうびょうせいどうみゃくこうかしょう)、各種血管炎(かくしゅけっかんえん)などの末梢血行障害(まっしょうけっこうしょうがい)
腕・手、脚・足の血管性障害として、糖尿病性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病、閉塞性動脈硬化症やそのほか膠原病(こうげんびょう)がある。手や足の強い冷感、痛みだけでなく、進行すると皮膚の血流障害により、びらん、穴ができる潰瘍(かいよう)、細胞が死んで皮膚が黒ずむ壊疽(えそ)に至ることもある。
がんの痛み(がんのいたみ)
モルヒネなどの医療用麻薬によりコントロールできる場合と、コントロールしにくい神経の直接障害による痛み、骨の転移による痛みなどがある。
脳出血・脳梗塞後の体の痛み(のうしゅっけつ・のうこうそくごのからだのいたみ)
まひした側の手足のしびれ、痛み。
花粉症(かふんしょう)・季節性アレルギー性鼻炎(きせつせいあれるぎーせいびえん)
薬でコントロールしきれず調整に苦しむ方、減感作療法や鼻粘膜へのレーザー照射を望まれない方には、季節になる前〜かかりはじめに神経ブロックが効果的なこともある。
腋窩多汗症(えきかたかんしょう)、手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)
ワキガのような臭いはほとんどないが、わきの下に多量の汗をかく。特に衣服にしみがついて気になる。手のひらに多量の汗をかき、紙がぬれて字が書けない、パソコンのキーボードがぬれてしまう、人の手を触れるのが気になる。