あなたの症状をうかがい身体を診察、症状によってはX線、超音波による画像診断を行います。
特に当クリニックでは、超音波による診断・治療に精通しています。これにより従来見ることのできなかった神経、筋肉・腱、関節周囲の組織や関節液の増減、血流などをその場で画像に映し出し診断することができます。さらにCT、MRIによる詳しい検査を受けていただく必要がある場合には、当院近隣もしくはご希望の施設に依頼いたします。
原因に対する治療方法のいくつかを提示し、ご相談のうえあなたに合った治療法を計画いたします。
画像を用いた正確で安全な治療
治療目的となる神経はもちろんその周りにある正常な神経や血管なども、体の外から見ることはできません。また痛みを引きおこしている関節の中や、その周りにある滑液包、腱なども見ることはできません。
近年の優れた超音波診断装置は、これら組織をミリ単位でリアルタイムに識別することができるようになりました。当院では、神経・骨・関節・筋腱・末梢血管に対するX線透視と超音波に精通し、診断はもちろん、神経ブロック、関節・滑液包治療、腱鞘内注射の多くに利用しているのが特徴です。これにより治療の精度と安全性を高めています。
神経ブロック療法
症状の原因となっている神経やその周囲に局所麻酔薬を注射することにより、神経の異常な興奮伝達を遮断し痛みを抑えることを利用して治癒に導きます。ときには炎症を抑える薬を同時に注入し、神経や周囲の組織の修復も図ります。さらには特殊な針の先に熱を加える(高周波熱凝固・パルス熱凝固という操作)ことにより、長期間神経の興奮伝達を遮断します。また自律神経の一つである交感神経にも同様の操作を加え、局所の血流を増やして神経や組織の回復を促進したり、不安定になった自律神経のバランスを安定化させたりしながら治療していくこともあります。
関節内注入、滑液包内注入、腱鞘内注入、椎間関節内注入、椎間板内注入
運動器疾患の治療として、腱鞘、筋・筋膜や肩関節、股関節、膝関節の他に、背骨の関節や椎間板にも治療薬を注射する方法があります。当院では、これらの治療をX線透視や超音波で直接見ながら行うことにより、従来の感覚的な方法に比べさらに治療効果を上げています。
硬膜外神経形成術(Raczカテーテル)
Raczカテーテル(スプリングガイドカテーテル)という直径1.8mmほどの特殊なカテーテルを病変部に挿入し、炎症により癒着して可動性が失われた脊髄神経の根部にできるだけ自由をとり戻したあと、さらに治療薬を集中的に注入する治療法です。この治療は以下の痛みに適応となります。(2018年4月から保険適用となっています)
- 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など脊椎手術の後に残った痛みまたは新たに生じた痛み
- 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などで、薬物、リハビリ、神経ブロックといった保存的治療に反応が悪く、かといって手術の適応がないか、または手術を望まれない難治性の神経根障害による腰や下肢の痛み
ボトックス療法
医療用ボツリヌス注射液(商品名ボトックス注)を皮内・皮下・筋肉内に注射します。片側性の顔面けいれん、両側性の眼瞼けいれん、首が勝手に傾いてしまう痙性斜頚に効果があります。また平成24年11月より、重度の原発性腋窩多汗症についても保険で治療できるようになりました。
薬物療法
近年痛みの研究の発達により、痛みにはいくつかのタイプがあり、それに関与する体内の物質や電気生理学的機序が少しずつ解明されてきました。これに伴い、すべての痛みに消炎鎮痛剤(従来の痛み止めといわれていた薬)が効くわけではない理由も分かるようになりました。痛みのタイプを診断し、それに合った痛み止めの薬を使い分けることが必要な時代となりました。当院ではこれら各種痛み止めの薬だけではなく、様々な種類の鎮痛補助薬や漢方薬を組み合わせながら症状の改善を図っていきます。
物理療法、運動療法
光線・温熱・電気治療器による補助的治療
深部への温熱療法により患部の血流を改善し、筋肉の緊張を和らげ、障害を受けた神経や関節周囲組織の回復を補助します。
日常自宅や職場で出来る運動療法についてのご提案
痛みを積極的に自分で治す、コントロールする努力は、ペインクリニックの治療による自己治癒能力の促進をさらに高めます。自宅でできるストレッチ、筋肉トレーニング、ウォーキングなどとともに、生活習慣の見直しや補助具の利用などを一緒に考えることによって、その場限りの対症療法に終わってしまわないようあなたのこれから先の将来を見据えてサポートいたします。
その他の治療
当院の目指す「元気をとり戻し活力のある生活」をサポートするために、健康な体を維持していただかなければなりません。そのためにも診療の一環として下記の予防接種も行っています。
各種予防接種
- 水痘ワクチン(随時):60歳以上の方で帯状疱疹の発症率を下げる、発症しても重症化による帯状疱疹後神経痛への移行する率を下げるなどの予防的投与として
- 季節性インフルエンザワクチン(毎年10月〜翌年1月)
- 肺炎球菌ワクチン(随時)