かつて麻酔専門医として患者さんの手術中・手術後の痛みを取ることに尽力していた経験から、神経ブロックなど治療に関わる痛みに対しては十分な配慮を施しています。具体的には、以下の内容を心がけて治療に取り組んでいます。
あらかじめ十分に局所麻酔をする
治療を行う場合は、最初に痛み止めの局所麻酔をします。その際、採血や点滴に使うものより細い、直径0.5mm以下の針を使用します。それでも注射には変わりないので、刺すときにはチクッとします。十分に麻酔をした後、各種治療用の針を目的の神経に誘導する間は、ほとんど痛みを感じません。万が一、途中で痛みを感じたら、遠慮せずにその場でお伝えください。すぐに痛み止めの局所麻酔を追加しますので、安心して治療を受けていただけます。
治療にはできるだけ細い針を使用
さらに神経ブロックなどの治療に使用する針は、直径0.5mm〜0.7mmという極細の針を主に使用しています。ちなみに、一般の血液検査の採血には0.8mm、献血の採血には1.3〜1.5mm前後の太さの針が用いられているので、かなり細いことがお分かりいただけると思います。
X線透視や超音波(エコー)装置も活用
X線透視や超音波(エコー)装置によるリアルタイムの画像を見ながら、周囲の組織を傷つけないよう、治療用の針を最短距離で目標に到達させ、痛みを引き起こさないよう工夫をしています。
治療手技の工夫
例えば治療において特に痛いといわれている神経根ブロックでは、ブロック針で神経を覆う外膜を貫通し瞬間的に痛みを伴う「神経鞘内ブロック」と、ブロック針を神経外膜の外側へソフトに接触させたり、神経根の出口から硬膜外腔というスペースにわずかに滑り込ませることにより痛みをほとんど感じないかわずかな痛みで済む「神経鞘外ブロック(神経血管叢内ブロック)」を使い分けています。
従来の神経根ブロック
痛くない神経根ブロック
神経ブロックの注射による痛みは残らない
治療後は、手術のように切った場所がうずくような痛みはほとんどありません。針を刺した部位の痛みはまれで、あっても非常に軽く、ほとんど2〜3日以内になくなります。
それでも神経ブロックがダメな方へ
このようにして実際神経ブロックの治療を受けられた多くの方に、「思っていたほど痛くなかった」とおっしゃっていただきます。しかし、中には注射への恐怖心や嫌悪感を抱く方もいらっしゃいます。こうした場合、神経ブロックを強制することはありませんので、初診時、あるいは神経ブロックによる治療を提示させていただいた際、遠慮無くお伝えください。他の代替療法があればご提案いたします。